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2006年08月18日

パレード

・パレード(吉田修一) 評価3.0



男3人女2人。
5人の若者が暮らしていたのは2LDKのマンション。
5人はそれぞれの役割を担いながら、奇妙な共同生活を続ける。

5人の各登場人物の視点から同居を描いた連作小説。


おもしろいことはおもしろい。
各登場人物の内面を鋭く描きながらも、
共同生活自体はほのぼのと楽しい雰囲気に仕上がっている。
読んでて和む。
ただ、気に食わなかったのは
読み終わってもさほど満足感が得られなかったこと、
肩透かしを食らったようなもやもやする読後感が残ったこと。
この作者の「最後の息子」という小説を以前読んだけど、
同じような印象がだった。

この作者の本はぼくには合わないみたい。

ps.
この本、文庫本も出ているらしいですね。
posted by 歯車 at 23:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 3つ星本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年08月17日

悪童日記・ふたりの証拠・第三の嘘

・悪童日記(アゴタ・クリストフ) 評価4.0




戦争は激化し"大きな町"は危なくなった。
ぼくら双子は"小さな町"に住むおばあちゃんに預けられることになった。
おばあちゃんはぼくらのことを"牝犬の子"と呼ぶ。
そして、何かにつけて箒や濡れ雑巾でぼくらを殴る。
町の人々もぼくらに平手打ちや足蹴りを喰らわせる。
ぼくたちはそういった痛みに慣れるためお互いで殴りあう。
人々の悪口に耐えるためお互いを罵り合う。
空腹に勝つため絶食する。

ぼくらの過激な日々が始まった。

続編のふたりの証拠・第三の嘘につながる第一作目。


巡回サイトで徹夜本として紹介されていた本。
たしかにおもしろい。
双子が残酷で不条理な現実をしたたかに生きていく様は見ていて心地よいし、
常に不安定な感じが付き纏う展開は本を閉じることを拒ませる。
ラストも衝撃的。

あと、感心したのは表現方法。
「楽しい」、「うれしい」、「おいしい」などの主観的な表現を使わない客観的な事実のみを用いた描写、
人物名など固有名詞を極力排した文章など、
新鮮に感じる部分が多かった。



・ふたりの証拠(アゴタ・クリストフ) 評価4.0

悪童日記の続編。
双子のその後の物語。
前作とは一転して固有名詞が出てくる。
しかし、感情表現を排した描写方法は健在。
客観的な事実のみを用いることで残酷な現実を浮き彫りにする。
前作に続きラストも衝撃的。


・第三の嘘(アゴタ・クリストフ) 評価3.5

ふたりの証拠の続編。
三作目は内容を説明するとネタバレにつながるのと、
自分にまとめることのできない内容だったので、
評価のみということで。
posted by 歯車 at 21:13| Comment(0) | TrackBack(0) | 4つ星本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

愚者のエンドロール

・愚者のエンドロール(米澤穂信) 評価3.0




「この映画は未完成なの。」
「誰もこの先の展開を知らないの。」

文集の作製に追われる古典部のメンバーが頼まれたのは、
2年F組で製作された未完成のミステリー映画の結末を推理することだった。
脚本家が考えたトリックとは、またその真意とは。

ほろ苦い青春ミステリー、古典部シリーズ第2作目。


古典部シリーズは登場人物のキャラクターも確立していて
楽しく読める青春小説だけど、
同じ作者の似たような作品なら、
「小市民シリーズ」の方がおもしろいね。
posted by 歯車 at 20:32| Comment(0) | TrackBack(0) | 3つ星本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年08月13日

カレーライフ

・カレーライフ(竹内真) 評価3.5




幼いころの夏の思い出と言えば、カレーである。
毎年お盆に洋食屋を営む祖父の家を訪れていた。
そこで4人のいとこたちと一緒に祖父特製のカレーを食べるのが恒例だった。
カウンターに仲良く並んで自分の作ったカレーを頬張るぼくたち5人を
祖父がやさしい眼差しで見ていたのを思い出す。
そんなぼくがカレー屋を開くことになったのも、
自然な流れだったのかもしれない。

祖父のカレーの謎を巡る冒険が今始まる。
読むとカレーが食べたくなる青春小説。


カレーが主題だけあって、いろんな香辛料が出てきた。
ターメリック、クメン、オールスパイス。
それらを使って作ったカレーを食べたときの表現が素晴らしい。
本から香ばしい匂いが漂ってきた。
カレーはあまり好きじゃないぼくだけど、
ご飯をカレーにしようか考えてしまった。
posted by 歯車 at 23:28| Comment(0) | TrackBack(0) | 3つ星本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年08月11日

氷菓

・氷菓(米沢穂信) 評価3.5



余計なことは一切しない「省エネ主義」がモットーの奉太郎。
姉の命令で入部することになったのは古典部だった。
古典部で彼を待ち受けていたのは、
好奇心が人一倍強いお嬢様、
無駄とも思える知識を溜め込む親友、
手痛い毒を吐く容姿端麗の女生徒だった。
奉太郎は彼らに振り回されながら、
部員の叔父が関わった三十三年前に起きた事件の真相に迫ることとなる。

ほろ苦い味のする青春ミステリー。
「古典部シリーズ」第一作目。


消極的な性格という主人公の設定。
現実にもこういうスタンスの人いるよねと、惹かれ購入。
無気力男、駄目人間になってしまいそうな消極的な主人公を
ユニークで憎めないキャラクターとして描いているところにおもしろさを感じた。
他の登場人物もキャラクターとして成り立っており、
作品のいいスパイスになっていた。
posted by 歯車 at 17:28| Comment(0) | TrackBack(0) | 3つ星本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年08月06日

モンテクリスト伯

・モンテクリスト伯1-7(アレクサンドル・デュマ) 評価4.0



ファラオン号がマルセーユに寄港した日。
エドモン・ダンテスは希望に胸を膨らませていた。
次期船長の話、フィアンセのメルセデスとの婚約。
青年の先には輝かしい未来があった。

数日後、その未来は4人の貪欲な男たちによって消し飛んだ。

ダンテスは身に覚えの無い罪により
死の牢獄「シャトー・ディフ」に幽閉されることとなった。
囚人34号として14年に渡る獄中生活がはじまった。


モンテクリスト伯は復讐劇、冒険譚として知られている作品。
ネットでおもしろいと評判だったので読んでみた。

おもしろよ、この本。

デュマの力ってすごいんだね。
100年近く前の作品なのに、全然色あせていない。
雄大な構想、緻密な構成、多彩な登場人物。
いろんな要素をうまく使い分けて、
100年間おもしろく読める傑作小説に仕上がっている。

ただ残念なのことが1つある。

今日、書店で入手できる唯一の完訳である
岩波文庫の「モンテ・クリスト伯(全7巻)」(山内義雄訳)を読んだわけだけど、
この訳が無茶苦茶、古い。
例えば、
「そんな大名みたいなお金の使い方なんて(フランスが舞台なのに大名って)」
「ぼくはちゃきちゃきのパリっ子さ(ちゃきちゃきって、江戸っ子かよ、おい)」
所々、妙な感じのところがあった。
ぜひ、新訳が出てほしいと思う。

それにしても、全7冊読むのに1ヶ月もかかったよ。
やはり古典を読むのはエネルギーがいるね。
posted by 歯車 at 11:57| Comment(0) | TrackBack(0) | 4つ星本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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