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2006年10月31日

東京バンドワゴン

・東京バンドワゴン(小路幸也 )評価3.5



東京バンドワゴン。
東京下町にある明治時代から続く古書店。
その店には古本だけでなく事件も持ち込まれる。
一家四世代の大家族がつむぎだす温かい物語。

ジャンルとしては坂木司さんの"切れない糸"と同じ"職業ミステリ"に入る。
古書店を商いとする大家族という設定が新鮮で楽しく読めた。
語り手が幽霊となったおばあちゃんだったけど、
研人だったら青春要素が強まったと思うのでより好みの作品になったかな。

ホームドラマの雰囲気が漂う作品なのでそういうのが好きな人はおもしろいと思う。
posted by 歯車 at 16:32| Comment(0) | TrackBack(0) | 3つ星本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年10月30日

死神の精度

聞き逃さないようにメモ


"死神の精度(伊坂幸太郎)"のラジオドラマ放送
NHK-FMの青春アドベンチャーにて
10月30日(月)〜11月3日(金) 22:45〜23:00(1-5回)放送。
posted by 歯車 at 12:14| Comment(0) | TrackBack(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

忘れないと誓ったぼくがいた

・忘れないと誓ったぼくがいた(平山瑞穂)評価3.5



「わかってくれるかわからないけど……タカシくんにはわかってほしいなと思って」

彼女の台詞を、ぼくは何十回繰り返しただろうか。
そのくせぼくはどういうわけか彼女の顔を、はっきりと再現することができない。
そしてそのことが、ぼくの胸を容赦なく抉るのだ。

少年と少女の切ない恋を描いた恋愛小説。


恋愛小説は苦手なジャンルで途中で飽きるのだけど、
この本は最後まで楽しく読めた。
ありがちな題材なんだけどファンタジー色をいれることで、
物語をおもしろく仕上げている。
主人公の性格も好みだった。
どうにもならないと運命に絶望を感じながらも、
虚勢を張ってそれに抗おうとする主人公は好きです。

デビュー作の"ラスマンチャス通信"にあった毒が本作では無くなっている。
それを残念に思うか悩むところだけど、これはこれでいい。
posted by 歯車 at 11:33| Comment(0) | TrackBack(0) | 3つ星本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年10月29日

フライ、ダディ、フライ

・フライ、ダディ、フライ(金城一紀 )評価4.0



そう、私は家族を守るためなら生命の危険も厭わない四十七歳のサラリーマン、のはずだった。
そう信じていた。
あの日が訪れるまでは―――。
いまから私が話そうと思っているのは、私のひと夏の冒険譚だ。

爽快な青春小説の傑作、ゾンビーズシリーズ第二弾。


元気を与えてくれる物語。

「一番大切なものでさえ自分は守れないのか」

自分の弱さを突きつけられ自己不信に陥った主人公のおじさんは
ふがいなさに悩むぼくたちとよく重なる。
それだからだろう、
おじさんがゾンビーズのメンバーの手を借りながら、
弱さや恐怖と正面から向き合い打ち勝ち徐々に自分を取り戻していく姿は
ぼくたちを自己嫌悪という泥沼から救いだし、前に進む力強さを与えてくれる。

スンシンとおじさんの親子のような交わりも温かくていい感じ。
posted by 歯車 at 22:57| Comment(0) | TrackBack(0) | 4つ星本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年10月27日

消えた少年たち

・消えた少年たち(オースン・スコット カード )評価2.0



「スティーヴィー、おまえはいったい誰と話しているんだ?」

きっかけは引っ越しだった。
新居で生活し始めてから長男のスティーヴィーは架空の友だちと遊ぶようになった。
愛しの息子の心は壊れてしまったのだろうか?
南部の小さな町を舞台にしたフレッチャー一家の物語。


合わない。
ミステリを期待していたせいかもしれない。
無駄に長いと感じた。
ほとんど複線が張られていないので、
プロローグと最後の1/4だけしか読まなくてもミステリとしては問題ない。
なんか脱力である。
短編を元に書かれたにしたそうだが、
長編にしないでそのままのほうが良かったのではないだろうか。
不気味で不可解なプロローグにはぐっと惹きつけられたのに、
楽しめなかったので残念。

家族小説として読めば、そこそこおもしろい。
ステップとディアンヌの皮肉を交えた夫婦の会話は楽しめたし、
子供を守るためなら仕事さえ投げ出すステップには魅力を感じた。
リーやグラスのような歪みを持ったキャラクターがもっと活躍していれば、
好みの作品になったのかもしれない。
posted by 歯車 at 08:53| Comment(0) | TrackBack(0) | 2つ星本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年10月25日

演技と演出

・演技と演出(平田オリザ)評価3.5



イメージの共有、コンテクストの摺り合せ、観客の想像力の誘導。
演技って?演出ってなに?
第一線の演出家が書いたわかりやすい演劇入門書。


演劇を見る習慣はないぼくでも、わかりやすく読みやすい本だった。
観客のイメージを誘導することについて書かれた第四章は興味深い。

演劇の"間(ま)"とは観客の想像力を刺激する行為。
舞台の沈黙によって物語の次の展開のイメージを観客の中で膨らんでいく。
イメージの膨らませ方が不適切だと観客は劇を退屈に、適切だと面白く感じる。

以前やっていたコントの舞台で自分も"間"を用いたりしていたが、
何か意味づけしてやっていたわけではなかったので、この考え方は斬新だった。

"ガラスの仮面"を例にした演劇の方法論を述べた第六章はおもしろい。
専門家から観るとガラスの仮面はこう映っているんだね。
posted by 歯車 at 21:02| Comment(0) | TrackBack(0) | 3つ星本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年10月24日

きみの友だち

・きみの友だち(重松清)評価4.5→5.0



これから、きみと、きみにかかわりのある何人かの子どもたちの話をしようと思う。
恵美ちゃん―――最初は、きみだ。

友だちって?
友だちについて問いかける長編小説。


読み進めるほどに引き込まれていく。

"みんな"といることを選ぶのか?
それとも"友だち"と一緒にいることを選ぶのか?

自分の周囲を考えずにはいられなくなる。
クラスの輪から離れようと、
「いなくなっても一生忘れない友だちが、一人、いればいい」
そういっていつも二人でいた恵美と由香はまぶしい。

重松さんの小説を読むのは"ナイフ"以来。
ナイフはこれでもかというぐらいいじめを表現しつくした作品。
逼迫していて切実で現実的。
息苦しさに窒息しそう。
"ナイフ"は傑作だったが、あまりに凄すぎてトラウマとなった。
それ以来、重松さんの小説は意識的に避けてきた。

"きみの友だち"のおかげで、そのトラウマもいくらか解消された。
次は"流星ワゴン"でも読んでみよう。
posted by 歯車 at 13:36| Comment(0) | TrackBack(0) | 5つ星本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年10月22日

あなたのそばで

・あなたのそばで(野中柊)評価2.0



恋というのはオニオンスープと一緒なのだ。
嫉妬は焦げて苦味が出るほど持ってはいけない。
ほのかな甘みが広がるぐらいがちょうどいい。

人を好きになるってなんだろう。
恋を描写した6つの短編集。


恋愛小説はだいたいにして合わないのだけど、
もしやと思って読んでみたら、やっぱり合わなかった。

淡々と馴れ初めとか語られても・・・。
起伏の薄い小説は苦手だ。
posted by 歯車 at 19:41| Comment(0) | TrackBack(0) | 2つ星本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

厭世フレーバー

・厭世フレーバー(三羽省吾)評価3.5



須藤ケイ、14歳。
須藤カナ、17歳。
須藤リュウ、27歳。
須藤薫、42歳。
須藤新造、73歳。

ぎくしゃくした家族5人が紡ぎだす人間模様。


誰にだって秘密や悩みがある、それは同じ家族でさえも。
当たり前なんだけど、忘れがちなことを再認識させてくれる。
重くなりそうな設定を軽くさらりと書いてあるのは、見事。
posted by 歯車 at 19:30| Comment(0) | TrackBack(0) | 3つ星本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

レボリューションNo.3

・レボリューションNo.3(金城一紀)評価3.5



その瞬間のことをいまでもはっきりと覚えている。
ウォークマンを聞きながら居眠りしていた奴らがいっせいに顔を上げた。
他の連中も動きを止め、声に耳を傾けた。

「君たち、世界を変えてみたくはないか?」

直木賞受賞作家が送る傑作青春小説。
ゾンビーズシリーズ第一弾。


溢れるパワー、絶えない笑い声。
頼りになる友達。
声をかければ集まってくれる仲間たち。

学歴社会の生ける屍と蔑まれようと友人たちと馬鹿騒ぎし若さを爆発させる。
もう一度高校生になれたらな、そう思わせてくれる一冊。
posted by 歯車 at 11:32| Comment(0) | TrackBack(0) | 3つ星本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年10月19日

"箱-getting out of the box"復刊

・"箱-getting out of the box"復刊




以前書いた"箱-getting out of the box"が復刊したみたいですね。
また品薄でプレミアついたら嫌なので早めに買っておこう。
posted by 歯車 at 16:08| Comment(0) | TrackBack(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年10月17日

シャングリ・ラ

・シャングリ・ラ(池上永一)評価3.0



東京の密林化を推し進める政府
それに対抗する武装ゲリラ。
巨万の富を手にしようと画策するカーボニスト。
玉座を夢見る少女。
すべての利害と思惑は天空の城アトラスへ収束する。
近未来の東京を舞台にしたファンタジー小説。


かっこいいニューハーフを観たいのであれば、ぜひ読むべし。
モモコ姉さんのかっこよさは並みの女じゃかなわない。

近未来の世界。
緑に飲み込まれ荒廃した東京。
政府軍と武装ゲリラとの闘争。

物語の背景は大友克洋の"AKIRA"と似ている作品である。

ただAKIRAのようなハードSFを期待して読むと肩透かしをくらう。
ストーリー展開を考えると雰囲気はSFよりもファンタジーに近いと感じた。

合わなかったのが終盤の流れ。
"魁!男塾"に近いノリは投げやりな印象を受けた。

ボリュームが結構あるので覚悟するように。
posted by 歯車 at 12:59| Comment(0) | TrackBack(0) | 3つ星本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年10月15日

鴨川ホルモー

・鴨川ホルモー(万城目学)評価3.5



1人の戦士が力尽きるとき、"それ"は否応無く発動される。
脱落した女の子がおぞましい表情と共に"それ"を叫ぶのを見るのは、
敵とはいえ心が痛む。
しかし、われわれは"それ"を叫ばねばならぬ。
"それ"が連中と交わした契約なのだから。

それでははじめようか、"ホルモー"を。

都で待ち受けていたのは鼻、ちょんまげ、貧乏、そしてホルモー。
おれの大学生生活はどこへ向かうか。
奇妙な青春を描いた第四回ボイルドエッグス新人賞受賞作。


笑えて楽しめる作品。
馬鹿馬鹿しく、くだらない主人公の語り口が笑いのツボにはまれば、
これはもうとんでもなく名作になるだろう。

そうでないのなら、注意が必要。

というのはこの本は発火点がとても遅い。
最初の数十ページで文章自体におもしろさを感じられなかったなら、
話が盛り上がる終盤にたどり着くのは結構大変かもしれない。

ぼくの場合は"まさし"が軽くツボに入ったため、
それを導き手としながら読み進めた。

この作者はこれがデビュー作。
笑える文章を書ける作家さんは好みなので、次回作も期待したい。

ところで表紙への一番右の人物が誰なのかがわからない。
三好兄弟かなと思ったが、1人しかいないし、もしかしたらスガ氏だろうか。
posted by 歯車 at 10:58| Comment(0) | TrackBack(0) | 3つ星本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年10月13日

風神秘抄

・風神秘抄(荻原規子)評価3.5



少年の音色は少女の舞と共振し、花びらの雨を降らせた。
生きる意味を失くした少年は少女に出会う。
勾玉シリーズの流れを引き継ぐ和風ファンタジー。


笛の音色と場の波長との共鳴。
草十郎が笛を吹くシーンが美しい。
特に、糸世の舞と共鳴する場面は幻想的で惹かれるものがあった。

武芸の才能に恵まれている少年が主人公だったのに、
刀ではなく笛の力で運命を切り開いていくという流れも斬新だった。

勿体無いことだが、勾玉シリーズはいまだ未読。
個人的には鎌倉以降の武士の時代が好きなのだが、
評判もいいことだし読書リストに勾玉三部作を入れておこうと思う。
posted by 歯車 at 19:08| Comment(0) | TrackBack(0) | 3つ星本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年10月11日

町長選挙

・町長選挙(奥田英郎)評価3.5



子供とも本気で喧嘩し、好きなものはプラモデルやラジコン。
幼稚園児が大きくなったようなトンデモ精神科医、伊良部。
治療に訪れた患者たちはそんな伊良部に振り回される。
伊良部シリーズ第3作目。

伊良部先生のはちゃめちゃな行動に知らないうちに影響され、
いつのまにか自分の病気が治ってしまっていた。
このシリーズのそんな話の流れが好きです。
本作でも、その流れは健在です。
楽しめるシリーズなので、続編が出ることを期待したいです。
posted by 歯車 at 14:16| Comment(0) | TrackBack(0) | 3つ星本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年10月10日

イレギュラー

・イレギュラー(三羽省吾)評価5.0



素質だけなら全国レベル、態度だけならメジャーレベル。
蜷谷高校野球部ピッチャーのコーキはくすぶっていた。
見つからない練習場、長引く避難所生活。
ピッチングするように右腕を振ると、胸の中のもやもやが晴れていく気がした。
新鋭作家が描く、田舎野球部の青春物語。


くやしい。
こんなおもしろい小説書きやがって。
それが読み終えたときの感想。
本作は"バッテリー"に匹敵するぐらい熱く、それ以上に笑いに満ちた熱血スポ魂小説だ。
コーキの成長、K校野球部との友情。
苦しい状況でもどこか陽気な蜷谷村の村民たち。
ぐいぐい物語りに引き込まれていった。
文句なしに面白い小説。

この著者の他作品も読んでみたい。
posted by 歯車 at 14:14| Comment(0) | TrackBack(0) | 5つ星本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

タラ・ダンカン

・タラ・ダンカン上下(ソフィー・オドゥワン・マミコニアン)評価3.5



タラが12歳になったとき、灰色のマントを着た魔術師が家を襲った。
石のように硬くなった祖母に赤い光を投げつけた仮面の男。
タラは魔術師シェムとともに別世界オートルモンドへ旅立つ。
フランスNo1ファンタジー。

壁に絵を映す城、奇妙な生き物。
オートルモンドの情景の描写が幻想的でとても美しい。
作者の想像力の豊かさに驚かされた。

この本は全部で10巻刊行されるらしい。
最期が出版されるのはいつになることだろう。
posted by 歯車 at 08:38| Comment(0) | TrackBack(0) | 3つ星本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

レインツリーの国

・レインツリーの国(有川浩)評価3.5



会いたい。でも会えない。

ブログで出会った二人はメールのやり取りをしながらお互いを深く知った。
顔を見て話したいという思いが募る。
しかし、彼女には直接会うことを頑なに拒む理由があった。
図書館戦争シリーズの作者が送る恋愛小説。

メディアワークスと新潮社のコラボレーション企画から出版された本。
この本は図書館内乱の作中に登場するので、
読む順番としては「レインツリーの国」を先に読むことをおすすめする。

甘々な恋愛小説と思いきや、
有川さんらしい本音のぶつかり合いが熱く描かれていました。
さすがだなぁ。

有川さんの小説で軍隊が出てこないのは初めてだけど、
やはり自衛隊が出てくる方が好みです。
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2006年10月09日

バスジャック

・バスジャック(三崎亜記)評価4.0



二階にドアをつけさせようとする町内会。
ぼくの部屋を図書館だと思い込み、本をに借りにくる見知らぬ女。
バスジャックが娯楽化した世界。

"となり町戦争"の著者が描くリアルで奇妙な日常をおさめた短編集。


ふつうではありえない非日常的な物事を無理矢理はめこまれた日常。
なぜ?どうして?
どの作品にもひんやりとした不思議さが漂っている。
乙一さんの作品とも似た感覚である。

好きな作品は"二階扉をつけてください"

"世にも奇妙な物語"が好きな人はぜひどうぞ。

こちらの公式サイトで本に掲載されている短編が読めます。
http://www.shueisha.co.jp/busjack/
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復讐する海

・復讐する海(ナサニエル・フィルブリック )評価4.0



最初に目に入ったのは骨だった。

ついで2人の男が見えた。
皮膚は一面にただれ、目は眼窩から飛び出し、
ひげは塩と血でばりばりになっていた。
彼らはボートの中で死んだ船員仲間の骨の髄をすすっていた。

1821年、捕鯨船エセックス号に乗船していた20人の乗組員は
100日近く海を漂流した。
無くなっていく食料、くじ引き、口にした人の肉。
極限状態の人間の心理と生理を描いたノンフィクション。

サバイバルという状況が好きなので、評価点に+0.5。

航海術、備蓄食料、ナンタケット島の風土、乗員の著書。
当時の様々な資料をもとに状況を考察し、
冷静な視点からエセックス号の悲劇が描かれている。
淡々とした筆致は逆に生々しく乗組員たちの苦境を浮かび上がらせ、
刺すような日差し、身体をべたせる潮風を自らが受けているいるかのような感覚を覚えた。

エセックス号の乗組員たちは生き延びるために人の肉を食べることを選んだ。
倫理や信仰を捨て仲間の肉を食べねばならない状況。
自分はどうするだろうか。

これほどの苦難に遭遇したのに、
乗組員の中に再び海に挑んだ者がいたことには尊敬するばかりである。
posted by 歯車 at 11:10| Comment(0) | TrackBack(0) | 4つ星本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年10月07日

自分を磨く方法

・自分を磨く方法(アレクサンダー・ロックハート )評価2.5


あなたが成長するために必要なことは?
人生を成功に導く50のキーワード集。


自分を信じる、言い訳をしない、など人生に必要なエッセンスを記した自己啓発本。
日々忘れがちな大切なことを再認識するには役に立つと思うが、
斬新な視点からの画期的なアドバイスが欲しい人には向かない。

論拠に寓話、著名人の格言、エピソードを主として用いているためか説得力が弱く、
強い共感を抱けなかった。
統計や心理学などの科学的データを併用すれば、この点は改善できたと思う。

「絶対に、絶対に、絶対にあきらめるな」

英国の名宰相のチャーチルの言葉が引用されていたが、
すぐさま彼の最期の言葉である

「何もかもウンザリしちゃったよ」

が思い浮かんだぼくはつくづく腐っていると思った。
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2006年10月06日

カラシニコフU

・カラシニコフU(松本仁一)評価3.5



南米の武装ゲリラ。
米国に密輸する中国の武器会社。
銃密造の村。
タリバン政権崩壊後のアフガニスタン。
テロがはびこるイラク。
各国が直面する問題の影にAK47、カラシニコフが見え隠れしていた。
カラシニコフ問題を巡る朝日新聞の記者の渾身のルポルタージュの第二作。


前作はアフリカがであったが、今作の舞台は南米、西アジア。
少年兵、失敗国家ほどのインパクトは感じなかったものの、
各国が直面する治安や民族の問題が生々しく記述してあった。

「ほかに働く場所がないからゲリラにはいったんだ」

武装ゲリラ所属していた若者のセリフが印象的。
posted by 歯車 at 17:13| Comment(0) | TrackBack(0) | 3つ星本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年10月03日

伝わる・揺さぶる!文章を書く

・伝わる・揺さぶる!文章を書く(山田ズーニー)評価5.0



読み手の心を動かす文章とはどういうものなのだろう?
そういった文章を書くにはどうしたらいいのだろう?
7つの要素をもとに長年、高校生の小論文指導に携わった著者が説く、
人の心を動かす文章の書き方。


すごくいい本。
これまで読んだ文章作成本の中で1、2を争う出来。
高校生のときに出会えれば最高だった。

この本が素晴らしいのは、
まず良い文章とは何かという説明から入っているところ。
最初に、良い文章を"しかるべきときに機能するな文章"と説明しているおかげで、
読者が目標をしっかりと見定めた形で読み進めることができる。
よくある文章作成本のようにこの点をおざなりにしていたら、
良い文章が感情移入できることなのか、情感豊かなことなのか、
読者は翻弄されることになり、
結局はゴールを見失うことになっていただろう。
さらに良いのは、名文と呼ばれる作品を読みこめだの、人と違うことを書けなど
あやふやでお茶を濁すような説明がこの本には全くない。
すべては論理的かつ明快である。
機能的な文章を書くためポイントを7つにまとめられ丁寧に説明されており、
文章を書く要点が非常にわかりやすい。

小論文が試験にある受験生、就職活動を控えた人、社会人になる方、
そういった人たちの中で論理的な文章が書けなくて悩んでいる人にぜひ読んでもらいたい。
ぼく自身、小論文などの人を納得させるような文章を書くのは苦手。
日記を書いているから小論文も得意だろと思うかもしれないけれど、そうでもない。
同じ走る陸上競技でも長距離走と短距離走では求められる能力が違うように、
文章でも主観的な視点の日記と客観的な視点の小論文では書くために、
きっと必要される力が別なのだろう。
読んだからといって論理的な文章をすぐには書けるようにはならないだろうけど、
この本のおかげで起点のようなものを得られた。

とりあえず2度読んだけど、
まだ血肉するためにあと数回読み直す必要がありそう。
この本を書いてくれた著者に感謝。

県大の図書館にも2冊あるので興味が湧いた人はぜひ読んでみるといいよ。
posted by 歯車 at 23:18| Comment(0) | TrackBack(0) | 5つ星本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

The Manzai3

・The Manzai3(あさのあつこ)評価4.0



「絶対、漫才なんかやらないからな」

神経質で気弱で消極的で人見知りで、その上あがり症で漫才なんか向いていないぼくを
秋本は漫才コンビをつくろうと誘う。
それを断固拒否する毎日。
いい加減疲れてくる。
そんな中、病院の廊下でぼくは落ち込んで廊下を歩くメグを見かける。
メグ、いったいどうしたんだ?
しつこい秋山、にらむメグ、コンビ結成をはやし立てるまわりの友人たち。
歩の夏はいちばん暑い季節を迎えていた。
バッテリーの作者が描く、ちょっとだけ特別な物語。

シリーズ三作目。
徐々にコンビ結成に肯定的に動いていく歩の心理。
メグへの片思い
心の機微を描写するのが相変わらずうまいです。
バッテリーの文庫本の最終巻も楽しみだけど、
こっちの続編も早く出て欲しいと思う。
posted by 歯車 at 08:50| Comment(0) | TrackBack(0) | 4つ星本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年10月01日

シンデレラ・ティース

・シンデレラ・ティース(坂木司)評価4.0



「ホント、歯医者なんて大っ嫌いなんだから」

小学生の頃のことだけど今でも思い出す。
耳障りなドリルの音、歯に感じた激痛、口の中の血の味、やめて、と泣き叫ぶわたし。
以来、歯医者に行けといわれたら迷わず遁走する。
しかし、この夏、
歯医者嫌いのわたしが母にはめられ歯医者でバイトすることに!?
新鋭の作家が描く、歯医者さんが舞台の連作短編集。


坂木司の描く、ハートウォーミングな職業ミステリの新作。
おもしろいです。
良い小説に出会ったときに過度の興奮の熱を冷ますための奇行、
部屋の中を歩き回ったり、自分の頭をぽんぽん叩いたりしながら読みました。
それほどよかったです。
これまでの坂木さんの作品は主人公は男性だったけど、今回は女性。
これがうまく効いておもしろさが増しています。
坂木作品ではおなじみの、
付き合い下手だけど誠実という探偵役のキャラクターもいい味出ています。
坂木さんの作品をはじめて読む方も、ファンの方も楽しめるいい小説です。
posted by 歯車 at 21:27| Comment(0) | TrackBack(0) | 4つ星本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

海狼伝・海王伝

・海狼伝(白石一郎)評価3.5



「将軍」と呼ばれる遠縁の元大海賊の帰郷。
対馬で純朴に生きていた少年、笛太郎が海賊への道を歩み始めた瞬間だった。
海に生きる少年の成長を描いた海洋青春小説。

日本の海賊の話は読んだことがなかったので新鮮だった。
好みの悪役が登場していればもっと楽しめたと思う。



・海王伝(白石一郎)評価3.5



視界に入るのは一面の大海原。
永遠とも思える漂流。
牛之助の体力は限界に近づき始めていた。
瞼に浮かぶのは嵐にのまれて行った友の影。
死の淵を漂う牛之助を助けたのは笛太郎たちがのる黄金丸であった。
海に生きる男たちの海洋ロマン小説。
"海狼伝"の続編。


海賊好きの人は読んで損はない。
けれど、前作を読んでいないと楽しめない。

話がいいところで終るため続編が読みたくなるが、
作者がもう亡くなってしまっているので諦めざる終えないのが残念。
posted by 歯車 at 18:08| Comment(0) | TrackBack(0) | 3つ星本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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