[PR] SEO 墨汁二滴

2007年01月05日

ワイルドソウル

6 ワイルドソウル(垣根涼介)評価4.5



南米に広がる熱帯雨林地域、アマゾン。
その酸性の土壌下にはいまも数万の棄てられた日本人たちが眠っている。
無念を抱いて眠る同胞たちのために男たちが国家を相手に勝負を仕掛ける。
復讐する男たちを描いた長編小説。

600ページの文字がぎっしり詰まった単行本。
長い。
けれどこれは意味のある長さだ。
読むことをぜんぜん苦痛に感じなかった。
前半の移民たちを待っていた凄惨な生活の描写。
後半の先の読めない緊張する展開。
これぞエンターテイメント。

高度経済成長の影でこんなことが起ったなんて知らなかった。
棄民という側面を含んでいたブラジル移民政策。
国家が己の体面のために自国の民をだます。
唖然とした。
最近も日本では天下りをはじめとした官僚たちの自己保身が続いている。
当時と同じ腐った体質はいまだにあるのかもしれない。
ある将来像が頭に浮びぞっとした。
posted by 歯車 at 16:50| Comment(0) | TrackBack(0) | 4つ星本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

カタブツ

5 カタブツ(沢村凛)評価4.0



不器用で、地味で、こつこつとした暮らしを送る。
決して派手ではない。
けれど結局、世間を動かしているのはまじめな人たちなのだ。
地味でまじめな人たちを主人公とした6つの物語。

どの短編もカタブツと呼ばれるようなまじめな人物を主人公にしている。
まじめな地味な人物たちの物語だからおもしろ味に欠けるかといったら、そうではない。
むしろ、逆。楽しめた。
誠実に物事に取り組むがゆえにいろんなことに悩む主人公たち。
共感できた。
物語のオチも意外さがあってよかった。
怖い感じのオチが多かったのが気にはなったけど。
お気に入りキャラは樽見。
表に出さない不器用なやさしさがいい。
posted by 歯車 at 15:58| Comment(0) | TrackBack(0) | 4つ星本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

夏のロケット

4 夏のロケット(川端裕人)評価3.5



高校時代、ロケット班総出で取り組んだロケットの打ち上げは結局失敗に終わった。
苦い思いをかみ締めながら、ぼくらは別々の道へと進んだ。
数年後、新聞記者となったぼくの下に過激派が作ったロケットの情報が飛び込んできた。
そのロケットはあのころぼくらが作ったものと酷似していた。
ロケットに魅了された大人たちの青春小説。

あの頃とは違い純粋な思いばかりでないけれど、昔見た夢を追って仲間たちが再び集う。
いいじゃないか。
じーんとした。
川端さんの本は少年の憧憬を題材にした本もいいけれど、
この本のような理系青春小説もいい感じ。
posted by 歯車 at 13:52| Comment(0) | TrackBack(0) | 3つ星本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

夜のピクニック

3 夜のピクニック(恩田陸)評価3.5



「みんなで夜歩く。
ただそれだけのことがどうしてこんなに特別なんだろう。」

高校生活の最後を彩る行事――夜歩祭。
それは全校生徒が80kmの道のりを夜通し歩く伝統行事だ。
甲田貴子は小さな賭けを胸にして夜歩祭にのぞんだ。
小さな積み重ねが青春であることが実感できる第二回本屋大賞受賞作。


ストーリー上はただ歩いているだけなのに
終盤に行くにつれて登場人物たちの胸のうちがわかったり、友情を感じる話のつくり。
うまいなぁ。
すっきりとした読後感もいい。
ただあっさりしすぎている気もした。
他の恩田さんの作品でも感じたけど、話自体はおもしろいのになにか残らない。
持ち味といったらそれまでだけど。

六番目の小夜子、ドミノ。
恩田さんの本はいつも途中で飽きてしまい一度は放り出すのがこれまでのパターン。
けれど、この本は一気に最後まで読み終えることができた。
さすが本屋大賞受賞作というべきか。
posted by 歯車 at 13:12| Comment(0) | TrackBack(0) | 3つ星本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年01月04日

マイ・ホームタウン

2 マイ・ホームタウン(熊谷達也)評価3.5



座敷童、河童、天狗、狐ヶ森。
あの頃、小学生だったぼくらは刺激を求め池や森、
ほかにも様々なところを遊び場にして心躍る冒険の毎日を過ごしていた。
1960年代の田舎の小学生の三人組を主人公にした連作短編小説。

作品のオチに不思議さが漂う。
こんな雰囲気は好きです。
当時の小学生たちの好みや生活がうかがい知れて面白い。
時代は違ってもシールなどなにかをコレクションしたがるのは、小学生の習性らしい。
そうえいば、ぼくもカードダスなどを集めたりしました。
内容に関して言えば、プロローグとエピローグがいらない。
小学生だった当時の話だけでいいような気がする。
あと、表紙が内容と合っていないのが残念。
暗い印象の本ではないのに・・・。
posted by 歯車 at 18:29| Comment(0) | TrackBack(0) | 3つ星本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

神様からひと言

1 神様からひと言(荻原浩)評価4.0



大手広告会社から珠川食品に転職した佐倉涼平はやりきれない日々を送っていた。
着任早々の失敗。
販売促進課からリストラ候補者の集まるゴミ溜め"お客様相談室"への転属。
鳴り止まないクレーマーからの電話、改善されない職場環境、くせのある同僚たち。
果たしてこのゴミ溜めで涼平はやっていくことができるのか。
痛快な青春小説。

おもしろい。
腐りきった食品会社を舞台に新入社員の涼平が奮闘する様子は気持ちがいい。
お客様相談室の同僚をはじめ登場人物も味があり楽しい。
お気に入りは篠崎。
あんな謝りテクニックをぜひ身につけたいものだ。
posted by 歯車 at 18:03| Comment(0) | TrackBack(0) | 4つ星本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。